⚽ PMSR「Line Breaks」の読み方

FIFA W杯2026 Post Match Summary Report — 数値例:M01 メキシコ 2–0 南アフリカ

1. そもそも Line Break とは

相手チームを横方向の「ライン(ユニット)」の集まりと見なし、そのラインの一番深い選手より奥へボールを送り込んだ回数。相手は最大3本のラインで構成されると考えます。

Attacking line 前線(FW・第一プレス)
Midfield line 中盤
Defensive line 最終ライン(バックライン) 🥅⬅️🟢
▶ DIRECTION OF PLAY(攻撃方向)

どのラインを越えたかで価値が変わる: Defensive line を越える=最終ライン背後への侵入 が最も危険。 だからKey統計では別枠で表示されます。

2. PDFのどこに載っているか(4か所)

  1. Key Statistics(1ページ目) — まずここ。総数だけ見るならこれで十分。
  2. Line Breaks ビジュアルページ — ファネル図+4/3/2 Units・Inside/Outside の内訳。
  3. Line Breaks 選手別テーブル — 選手ごとの Through/Around/Over と Pass/Cross/Carry。
  4. In Possession – Distributions — 配球表内にも Line Breaks 列(②③と整合)。

3. ① Key Statistics — 一番使いやすい

メキシコ項目南アフリカ
105Completed Line Breaks
完了した全ライン突破の総数
57
10Defensive Line Breaks
うち最終ラインを越えた数=背後侵入
3

読み方:「全突破 105 のうち、背後まで届いたのは 10」。左=ホーム / 右=アウェイ。

4. ② ビジュアルページ — 3つの軸で読む

下端のラベル付き合計を読むのが最も確実です(メキシコの例)。

区分4 Units3 Units2 Units
Attempted(試行)118540
Inside Shape74023
Outside Shape44517

軸A:4 / 3 / 2 Units=ブロックの密集度

4Uフルに整った密集ブロックを割った 最難・最少(11回)
3U通常の3ライン相手=最多(85回)
2Uライン数が少ない=崩れ/トランジション局面(40回)
⚠ この「Units数」の厳密な定義は資料表現に幅があるため、密集度の目安として使うのが安全です。

軸B:Inside / Outside Shape=受けた場所

Inside =ブロックの内側(ライン間・中央)で受けた(危険)/ Outside =外側(前・サイド)で受けた。例:3Units は Inside40 / Outside45 とほぼ半々。

軸C:縦軸ラベル=どのラインを割ったか

グリッド内の Attacking Midfield Defensive が「越えたライン」を示します。矢印 DIRECTION OF PLAY が攻撃方向。

5. ③ 選手別テーブル — 列の並び

並び順:
# 選手 Attempted Completed Completion%4U:Att/Mid/Def 3U:Att/Mid/Def 2U:Mid/DefThrough / Around / Over Pass / Cross / BallProgression

選手試行完了完了率 ThroughAroundOverPassCrossCarry
1 R. RANGEL (GK)131077% 10121300
3 C. MONTES171271% 5391610
5 J. VASQUEZ161381% 11231402
16 J. QUINONES1212100% 7411002
Through:ブロックの間をグラウンダーで通す Around:外を回す Over:頭上を越す(浮き球)
Pass:パス Cross:クロス Ball Progression:運び(ドリブル・キャリー)

GK(Rangel)にも数字が付くのは、GKからの配球もラインを越えればカウントされるため。

6. 実務まとめ — 価値の序列

用途別の見る場所

  • ざっくり比較 → ①の2行だけ
  • どこを破ったか → (Units・Inside/Outside)
  • どう破ったか → (方向・手段)

最も危険な一本

Defensive line × Inside Shape × ThroughCompleted
=最終ライン裏へ、中央で、グラウンダーで通して成功。

💡 分析で使う「背後侵入の質」は、まさにこの組み合わせの濃さ(=xG/Defensive Line Break)を見ています。 量(突破数)ではなく、この1本の質が勝敗を分けるというのが本データの一貫した傾向。

出典:FIFA Training Centre — FIFA World Cup 2026 Post Match Summary Report(PMSR)/ 数値例は M01 メキシコ v 南アフリカ。 「Units数」の厳密定義のみ資料表現に幅があるため密集度の目安として記載。